年の瀬、第九を終えて

12/22から続いたNHK交響楽団とのベートーヴェン《第9》の演奏会を27日に終えました。(25日休演)

マエストロ、マレク・ヤノフスキ氏の厳しい音楽稽古を乗り越え演奏で見えた景色は素晴らしく、感慨深く演奏を終えました。東京オペラシンガーズがN響と第9を演奏するようになり3年目、僕は初めてサントリーホールでの最終日を迎えました。

オーケストラの音が草原が風になびいて光を変えていくように美しく、ひとつひとつの輝きを持ったアンサンブルや舞台が浮き上がってしまうのではと思うほどの音のうずきを同じ舞台上から感じました。

31日のテレビ放送でその一端でも共有いただけたら嬉しいです。

N響「第9」演奏会

今回のソリストをとても楽しみにしていて、ソプラノの藤谷佳奈枝さんは同郷(香川県)で、同じ大学出身でもあるので、とても誇らしく思います。ロバート・ディーン・スミスさんが率いて歌うマーチの部分もかなりユニークな演奏となっているのでお楽しみ。アルトの加納悦子さん、バスのアルベルト・ドーメンさん共に素晴らしく、存在感のある歌唱でした。

最後に、素晴らしい音楽を信頼する合唱団の仲間たちと共に出来た事が何よりも嬉しい事でした。

明日は2018年の最後の日。

2年ぶりに東急ジルベスターコンサートに合唱で出演します。音楽に囲まれて新年を迎えられるとは、なんと幸せなことかと思います。Eテレの続きでお楽しみください!

良い大晦日を。そして素敵な新年をお迎えください♪♪

12月の声

部屋の壁に掛けてあるカレンダーは月めくりで、季節にちなんだ生け花の写真に俵万智の短歌が書かれている。

12月は

12という数字やさしき真夜中に

君の声聞くために生きている

(サラダ記念日/モーニングコール)

単純に”12という数字”だったり、”やさしき真夜中に”がクリスマスや除夜の鐘を彷彿とさせるだろうか。もしかしたら忙しい最中にやっと会えた恋人同士の語らう真夜中のひと時かもしれない。声に出して読んでみると師走の慌ただしい心を不思議なほどなだめてくれる。

この歌を見た瞬間、”君の声”の”君”がベートーヴェンと連結されてしまって、これから始まる第九のシーズンを前にあぁなんだか職業病なのかな、と僕は思ってしまった。”第九”の合唱を毎年歌う機会に恵まれ、特段この時期だけでなくなった最近でも、やはり12月末にかかると身が引き締まる。

演奏する度に二度として同じ条件はないのは当然であるけれど、ベートーヴェンの書いた音楽はずっと昔から変わらずにある、というのが音楽の妙なところだ。

今年はどんなことをベートーヴェンがどんな声で語りかけてくるのだろうか、しっかりと受け止められる様に楽譜と、音そのものに心を寄せて過ごしていこう。

52ヘルツの鯨、公開

突然ですがっ!2年前に撮影に参加した阿部綾織監督作品《52ヘルツの鯨》が間も無く公開されます!

まずは28回映画祭TAMA CINEMA FORUMの中でTAMA NEW WAVEある視点vol.1において11/20(火)16:40〜より上映されます。

そして撮影を担当された斎藤文さんを取り上げた、《監督 内田伸輝×撮影斎藤 特集上映》が11/24(土)〜30(金)池袋のシネマ・ロサで連日上映される中に《52ヘルツの鯨》が11/26(月)に上演されます。

TAMA CINEMA FORUMには都合がつかず行けないのですが、池袋での上映には久しぶり会えるだろう仲間と映画完成の喜びを分かち合おうと思います。TAMAの映画祭も池袋も、お時間ご都合の合う方は是非お出かけいただけたら嬉しいです。

★TAMA NEW WAVEのリンクから予告もご覧いただけます(そこにもちょこっとだけ僕の姿が。。。)

上海散歩

帰国してから何日か、目を覚ます度に頭の中で上海で聞いた雑踏の音が頭に響いていました。
中国語らしき、日本では聞くことのない高い響きのよく通る人々の声、まるで会話しているかのようなホイッスルの音、音もせず通り過ぎる電動バイクの、僕の胸のあたりで風を切る感触。

それらが体から日に日に抜けていくような感じで、そんなにも体に音を浴びていたのかと改めて驚きました。

上海に行くことが決まってから行ってみたいと思っていた場所がありました。

Starbucks Reserve Roastery Shanghai

日本にいる時はスターバックスはほとんど利用しないのですが(理由は色々)、ここは本拠地シアトルに次いで昨年12月に出来た焙煎所併設の店舗ということで、そんな稀な機会はないと思い場所だけは調べておきました。

ローマのパンテオンのような円形の建物

来年には東京にも同様の店舗が出来ると聞いていますが、東京よりも早くに出来たことは街を歩いていると何となく理解できます。

外灘に抜ける大きな歩行者天国を持つ南京東路から人民広場を挟んだ、南京西路駅から歩いて数分、周りには大きなデパートや外資系服飾、飲食店の店舗などが連なります。新しさと歴史ある街を古い建物が繋ぎとめていて、行き交う人の多さ、多様さでとても華やかに感じた。

シアトルよりも2倍の広さだという店内はこちらhttp://miyamotoeiichiro.com/wp-content/uploads/2018/11/img_3783.mov

奥に大きな焙煎機が見えます。

そして二階

http://miyamotoeiichiro.com/wp-content/uploads/2018/11/img_3785.trim_.mov

各階にエスプレッソマシーン、コーヒーマシン、ハンドドリップ、サイフォンなど、抽出する手法がカウンターにずらりと並び、コーヒー豆も数種類から選ぶ事が出来ます。スタバといえば本国で焙煎された統一の深煎りの豆が良くも悪くも象徴的ですが(スタバを利用する人でブラックコーヒーを飲む人の割合がどれだけなのかわからないが)店内で焙煎されたブレンドから豆の種類によって最適に焙煎されたストレートが4〜5種類ほど準備されていた(あぁ、メニューも撮ってくればよかった。。。)

エスプレッソをお湯で割ったアメリカーノでなく、クローバーというコーヒーマシンで入れたストレートコーヒー(下写真のcolombia)は50元弱で、ハンドドリップで入れたお店のブレンドは60元(右端)ほど。たしかサイフォンが70元だったので、手間がかかるものは対価を払うといったところか。当時のレートが17元弱だったのでまぁそれなりの値段がする。

ケーキは左がキャロットケーキ、右がレモンのパウンドケーキ

味はというと、それぞれの豆の特徴がよく出た味わいで、香りも良く、量も結構あり(350mlほど?)圧倒的な店内の雰囲気からしてみればこの価格でも良いのかな、と思わせる品質です。

他にもコーヒーを使ったお酒やクラフトビールがあるカウンター、中国茶売り場も大きく、焙煎機を中心としてまるでアミューズメントパークといった面持ちでありました。

世界でまだ3つしかない、というとコーヒー店で何を大げさな表現をと思われるかもしれないですが、都市文化とコーヒーを結びつけて、それを世界に発信しているというのが何より圧倒的でした。日本の店舗も、コーヒーを通してどれだけ世界に日本らしさをアピールができるのか、スターバックスファンでない僕としても気になるところです。