東京・春・音楽祭2019

東京・春・音楽祭は、上野にある東京文化会館を中心として国内外の演奏家が魅力的なプログラムで数多くのコンサートを開催している。2005年の「東京のオペラの森」から数えて今年で15回目、「東京・春・音楽祭」と大きな題名を掲げてから10回目となる。認知度も高くなり、演奏会の数、プログラムの多様性は文字通りといっても良い、東京の春に音楽で華を添えている 。

15回の記念すべき回となる今年の音楽祭は14日のシェーンベルク作曲の《グレの歌》によって閉幕した。この超大編成の演奏会には参加できなかったが、最終のリハーサルを聴くことができ、ソリスト、オーケストラ、合唱とすべてのパートが“音楽祭”的布陣で、きっと本番も素晴らしい演奏に違いないという確かなリハーサルだった。当日のコンサートを聴くことができた人はきっと幸せだっただろうし、演奏に携わった人達も音楽家として幸せな日だっただろうと、うらやましく思う。

僕は《さまよえるオランダ人Die fliegende holländer》(4/5,7公演)で東京オペラシンガーズの一員として参加した。NHK交響楽団がワーグナーを演奏するシリーズの10回目となるこの作品は、ダーヴィット・アフカムDavid Afkham指揮、ゲストコンサートマスター、ライナー・キュッヒルRainer Küchlを中心としたオーケストラの確かな演奏に、ブリン・ターフェルBryn Terfel、リカルダ・メルベートRicarda Merbeth、ペーター・ザイフェルトPeter Seiffertといったスーパースターを迎えたことで、記憶に残る素晴らしい公演となった。それを証明するのは終演後の客席の反応で、2公演とも熱狂的に、1階席はもとより、上の階もほとんどが立ち上がっていた様に舞台側からは見えたし、オーケストラや合唱が舞台から降りた後でも拍手が鳴りやまず、指揮者、キャストが再びカーテンコール?に応じていた。この盛り上がり方は近年の春祭ワーグナー・シリーズでは記憶にない。素晴らしい演奏だったことは間違いはない(はず)が、この音楽祭が人の心に根付いている証なのではないだろうか。続くことで聴衆の期待度は増すし、演奏の充実というのもそれに応じるだろうし、その好意的な循環がこの東京で作られていっているというのは15回の内10年は何かの公演に携わった者の実感としてある。合唱のいちメンバーとして今年も関わることができて、本当に幸せだったと思う。

写真は東京・春音楽祭Facebookより

eiichiro
テノール歌手の宮本英一郎です。 演奏活動を通して、たくさんのことを皆様と共感出来たらと思っております。 演奏会のご依頼等ありましたらコメントからご連絡くださいませ。メール環境が整いましたら移行いたします。

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