東京春音楽祭2026

今年も幸運な事に東京春音楽祭に参加しておりました。

前身の東京のオペラの森(2005-2008)から東京文化会館を中心に2か月に渡って開催される春の音楽のお祭り。東京春音楽祭として装い新たに、より音楽に深くフォーカスした数々のプログラムを楽しむ事ができる音楽祭です。(ここで過去のプログラムが見られます) 僕は2006年からとびとびでありますが演奏側として参加して、また聴く側としても毎年の多彩なプログラムを楽しんでいます。

今年は大きな分岐点として、東京文化会館の大改修による3年の閉館があります。そして2014年からワーグナー《リング》をから始まり、このシリーズの大きな存在であるマレク・ヤノフスキ氏が”春祭”最後の指揮台への登壇。

昔の話をすると、ワーグナーの《リング》が始まると合唱団の出番は4作目の《第三夜》までないので、ここで集まるのはいつになるかね、なんて話をしていましたが、序夜を聴いた代表から、すごい公演になるから次会う時は気合い入れましょう、と檄があったのを思い出します。

いざ《第三夜》が訪れると、あの壮絶な金管群によるファンファーレ?から巻き起こるカオスの中、決して大きく振りかぶることのないスタイルから音を構築していく姿、どんな大音響の中からでも聴こえてくるマエストロから発せられる低く響く声に衝撃を受けました。その時の事は鮮明に覚えていて、合唱団の声が足りなかった時に、指揮する指を上向きに寄せながら「More!」と強力に声を発するかと思いきや、満足すると少しのほほ笑み。あまりに大変なんで、こちらは苦笑いしか出ませんでした。。。

東京春音楽祭では11演目という(コロナ禍を挟んでいるのに)多くの、しかもほぼ全てがとても大きなプログラムという音楽祭の大きな幹としてあったマエストロ・ヤノフスキ。今年は群を抜いて大編成である《グレの歌》を指揮し、「私はもう年をとって、、、」と答えたインタビューはただ数字の話で、気のせいなのでは?とさえ思います。ワーグナー・シリーズだったりコンサートプログラムにしても2回本番がありますが、この《グレ》は1回のみ。演奏時間やとてつもない大編成ゆえに難しいこともたくさんあったかと思いますが、この演奏会が実現し、そしてまた素晴らしいものとなった事は春祭においても、日本の演奏史にとっても残っていくものだったのではないでしょうか。これはいつの時でも感じますが、その場所に自分が演奏していたというのはとても幸運であったと思う日々でした。ここに集まったすべての演奏者と、携わった多くの方々、シェーンベルクの作品に感謝です。

東京文化会館が、再び良き音楽が集まる場所としてその扉が早くに開かれ、音の記憶を収めていくことを願っています。

eiichiro
テノール歌手の宮本英一郎です。 演奏活動を通して、たくさんのことを皆様と共感出来たらと思っております。 演奏会のご依頼等ありましたらコメントからご連絡くださいませ。メール環境が整いましたら移行いたします。

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