人形町界隈を歩いた。
年の初めまで近所にあったパン屋BoulangerieDjangoがこちらの方に引越されたので、久しぶりに食べたくなって(というよりは我慢ならなくなって)足を伸ばしてみた。
とても美味しいパン屋さんなので、地元からなくなってしまった時、僕は随分悲しんだが、新しいお店の明るい雰囲気と、お客さんのパンを見つめる幸せそうな姿を見て胸のすくような思いがした。
大袈裟かな?でもパンは大切なんだよ。
暗くなり始める街を歩く。辺りの小さな間口の料理屋の灯りが残されて、車が走る音も遠くなり、五感のトーンが平坦になっていく。
幅の狭い路の向こう側に、軒先で屈む老夫婦の間から小さく火が立ち上がった。火の先に登る煙が見え香りもやってきた。今日は送り盆だ。
煙は尾を弛ませるように登っていく。僕は煙を遠く感じて、去りながらも見送る。
また違う景色をゆっくり写真を撮って歩きたい。