歌劇《金閣寺》は今週末2/22の初日に向け、既に劇場でのリハーサルが進んでいる。(こういうのを小屋入りとか劇場入りとか言ったりする。)
フランス、ストラスブールからやって来たプロダクションはとても美しく、僕たち合唱が着る衣装も一つこだわりのある、きれいな色味で、着るだけこの作品の世界へ向かわせる。
ストラスブール・ラン劇場(Opéra national du Rhin)の初演での様子を日本公演に合わせて紹介した記事。衣装や装置も垣間見ることができる。
https://ebravo.jp/nikikai/archives/1331
演出の宮本亜門さんの上演当時のインタヴュー
新国立劇場では石川淳原作、西村朗作曲の新作オペラ《紫苑物語》が先日17日に世界初演を迎え、3/2,3には、なかにし礼原作、三木稔作曲の《静と義経》(日本オペラ振興会公演)と期せずして(おそらく)邦人オペラ作品の上演が重なり、音楽仲間の中ではその話題でどうしても盛り上がる。
黛敏郎の《金閣寺》は上で挙げたそれらの中では一番古く、1976年にベルリン・ドイツ・オペラの委嘱作品として初演された。日本での上演は2015年の神奈川県民ホールでの公演が最新であり、それより以前は1999,1997,1991,1982年と遡る。三島由紀夫の超有名な原作で日本を代表する作品としては多いか少ないのかは僕には判断は出来ないが、やはり大きなプロダクションで成立する作品である事を自分の体感として持つ。
外国の劇場で作られた日本人演出家による作品を、二期会が制作して日本で上演するという、色々なことがクロスオーヴァーする様で、プロダクションの意義として大変面白い。そして作品そのものである「溝口」を歌える歌手というのは時代を現しているのではないか、と感じる。同役を歌われる宮本益光さん、与那城敬さんは金閣寺という作品が待っていた歌手なんだ、と思わせてくれる。
作品は「溝口」の体内をめぐる血液、脳内を流れる電流が音楽化されている様で、それをそのまま可視化する今回の舞台は一体どんなふうに観客に受け止められる事になるのだろうか。舞台のかけがえのない一部となれる様、まずはもっとその中に入り込んでいかなければと思う。