東フィル、フィデリオ終演

数日前に幕を閉じた《フィデリオ》演奏会形式に合唱の一人のとして参加した。

チョン・ミュンフン氏と東京フィルハーモニー交響楽団、東京オペラシンガーズとの組み合わせは結構久しぶりではないかと思うが、僕としては2007年のモーツァルト《イドメネオIdomeneo》、2009年のヴェルディ《レクイエム Requiem》以来である(と思う)。
その間に新国立劇場合唱団としても共演したけれど、やはりその音楽作りにいつも圧倒される。
三日間それぞれ違うホールでのコンサートは、国内外の一流ソリストによって素晴らしい演奏だった。合唱も併せて同じ感想を持っていただけたら嬉しい限りだけれども。最後の公演、東京オペラシティー、タケミツメモリアルホールの演奏後は、熱烈な拍手を受けた。
コンサートが終わりありがたいことに拍手を受けて、ソリストがいればそれぞれ役として、そして指揮者が出てきて、合唱指揮者が出てきて、何度かそれを繰り返し、コンサートマスターが聴衆にお辞儀をして、舞台上での検討を讃え合い、それなりにきれいにステージから降りるというのが通常の僕たちの仕事の終わり方である。
この日は”とても”熱狂的な、そして長い間拍手を受け、合唱団の最後が舞台を出た後も聴衆からの拍手が残っていたこともあり、マエストロがまだ舞台袖にいたオケや合唱に「舞台に戻ろう!」と呼びかけ、オーケストラの椅子がまだ残る間を縫いながらソリストと共に舞台へと出て行った。

まだ客席に残っていた方々と、言葉にしがたい感動を分かち合いながら舞台を後にした。
僕自身は15年くらい舞台に出ていて初めてで、こんなこと本当にあるんだなぁと演奏後の感動にもうひと押しされてしまった。
すると、舞台袖には新国立劇場で制作中の同じくフィデリオに出演するステファン・グールド氏が、僕たちのフロレスタン、ザイフェルトの歌唱に祝福を伝えにやってきていた。

グールドは長年のファンなので、これはもう神様からの贈り物としか思えない!!
見上げなければ視界に入らない彼らの姿を思い出すだけでも、また興奮してしまう。

素晴らしい演奏は全ての人の力の結晶と、ベートーヴェンからの贈り物なのだが、また僕がその場にいるためには、今この時からの精進しかないので、一音一音を大事に歌っていこうと思う。

以下演奏会詳細~

東京フィルハーモニー交響楽団定期演奏会 ベートーヴェン作曲 歌劇《フィデリオ》演奏会形式

6日(オーチャードホール),8日(サントリーホール),10日(東京オペラシティ タケミツメモリアルホール)

指揮:チョン・ミュン・フン

オーケストラ:東京フィルハーモニー交響楽団

フロレスタン (テノール):ペーター・ザイフェルト

レオノーレ (ソプラノ):マヌエラ・ウール

ドン・フェルナンド(バリトン):小森輝彦

ドン・ピツァロ (バリトン):ルカ・ピサローニ

ロッコ(バス):フランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒ

マルツェリーネ(ソプラノ):シルヴィア・シュヴァルツ

ヤキーノ(テノール):大槻孝志

合唱:東京オペラシンガーズ(合唱指揮:田中祐子)

お話:篠井英介

eiichiro
テノール歌手の宮本英一郎です。 演奏活動を通して、たくさんのことを皆様と共感出来たらと思っております。 演奏会のご依頼等ありましたらコメントからご連絡くださいませ。メール環境が整いましたら移行いたします。

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