先日、とある方が歌う「冬の旅」を聴きに行った。フランツ・シューベルトがヴィルヘルム・ミュラーの同名の詩集に作曲した24曲からなる連作歌曲集は全部で1時間を超える大作だ。
何回も聴いているはずだが、対訳がないと物語を追えない僕ではあるが、聴き進める内に自分の気持ちと音楽とがすっと重なる時がやってくる。その時に何が見えるのか、というのは心の内が決める様なもので、正しく向かい合えれば音楽を聴くことはまたとない自分自身へのカウンセリングの機会でもあろう。
頭の中には”いっしんに”という言葉の感触が残った。それは「一心」でもあれば「一新」とも取れるし「一身」とかでもあるかもしれない。その語感だけがやってきたので、これは何かに変えずにあえてそのままにしている。
「冬の旅」の情景の隅々をまた再び絵筆で描く様に言葉を歌う”いっしんに”ある姿を見て、あぁ本当にこれが自分に足りていないと膝をつく思いがした。
3月にフランスの曲を中心とした演奏会を開く機会をいただいた。近々お知らせします、というほど遠い話でないので気ばかりがせいてしまう。1人で歌うのは3年ぶりだと思うので良い音楽ができるよう、しっかり準備をしたい。
本当に近々お知らせいたします。