今、参加している舞台作品は新国立劇場で10月1日に初日を迎えるヴァーグナー作曲『神々の黄昏』という作品で、開館20周年という記念すべきシーズンの開幕作品である。
そしてこの『神々の〜』は、4つの作品で構成される『ニーベルングの指環』の最終作品で、同劇場が2015年シーズンから取り組んできた全作上演の最終回にあたる。
いろいろと記念的な事が重なる公演に参加出来ることをとても光栄に思う。
ヴァーグナーの作品は団体問わず、合唱としていくつかの作品に携わっているが、その最初が1998年の二期会公演『タンホイザー』で、初めて携わる大きな公演で、しかも場所は今回と同じ新国立劇場、合唱指揮も同じく三澤洋史先生であった。
当時、僕は大学三年で、とにかく大きな公演のため、二期会合唱団だけでなく、当時大学の合唱の授業を担当していた三澤先生が三年生を中心に男声20人ほど大学から引っ張ってきた。『タンホイザー』は合唱の量がとても多く、そして大変難しいことに加え、プロの中に学生身分が入るという緊張と合わせてたくさんの思い出がある。
舞台の製作過程、所作、衣装の扱い、楽屋マナー等々初めての事だらけで先輩方には大変なご迷惑をかけたのだろうと想像する。
ヴァーグナーと新国立劇場、、、というのは僕の初体験を思い出させるシチュエーションの重なりで、気分が高揚すると共に初心に帰るものでもある。
今回の舞台は、ヴァーグナー公演の殿堂”バイロイト音楽祭”で歌っている歌手が主要キャストで来日していて、その一声一声が体中を震えさせる。出演時間は演奏時間から考えればとても短いのではあるが、(なにせ4時間半の演奏時間!!)貴重な時間を過ごせることの喜びは何にも代えられないものになるだろう。
週末から本舞台に移っての稽古が始まる。
みんな怪我なく、病気もなく、ひとりもかけることなく舞台を終えることが出来ますように。