晩夏に寄せて

季節には香りがある。 めっぽう鼻が弱い僕がわかるのだからきっとあるのだ。 夏が残した太陽の残り香、たくさん降り注いだ陽の後に夕立を受けた土の香り、蝉の声の遮りがなくなった風が新しく生えた小さな野の草を揺らす匂い。 コンク...

夏をめぐる

去年の夏、母方の祖母が亡くなった。 離れた所に住んでいたという一応の理由をつけてみるが、亡くなる年の春に家族で会いに行ったのが最後だった。祖母は自分の子供以外、席を外した順にあの人は誰か?と聞く以外はゆっくりでも歩き、楽...

翼を持ちて

先週末の土曜日、Operaliaというコンクールの本選をインターネット中継で観た。 プラシド・ドミンゴ国際オペラコンクールという名前で25年前から行われていて、いつの間にやらOperaliaという洒落た名前がついている。...

写真のこと 荒木経惟

「東京墓情」という荒木経惟の写真展に行った。 銀座にあるシャネルネクサスホールで今日まで行われていたもので、昨年、フランス・パリにある東洋美術を扱うギメ美術館での展示にシャネルが協賛したことから、今回の日本での展示も実現...